みかみの国の王様

お前はお前。俺は俺。

生徒の気持ちに報いるために

俺の教室はチラシを年に1回しか入れない。

 

それでもずっと満席で今日までやって来れた。

 

だけど、未来はきっとそうはならないだろう。

 

少子化、そして通塾率が低下しているからだ。

 

 

年にたった1回しかチラシをいれてないにも関わらず、みんなが来てくれている。

 

本当にありがたいことだ。

 

俺は結構自慢できるくらい勉強してきたから、おそらくはほとんどの化学の先生よりも圧倒的に短時間で最速の解き方を示すことができると思う。

 

だから、他の塾で化学を勉強するくらいなら俺に習った方が絶対いいと思っている。

 

でも、それでは努力が全然足りていないのではないかと思うようになっている。

 

 

 

2015にセンター試験の範囲が化学1・2の全範囲になり、ああ、これで昔のスタイルに戻るのかな?と思っていたら、完全には昔スタイルに戻らなかった。

 

意外に難しい問題が数問出るようになった。

 

特に、合成高分子、天然高分子だ。

 

俺は学生の時は生化学メインの学科の進んだ。

 

それは天然高分子は独学が難しいだろうと考えたためだ。

 

だから、糖やらアミノ酸は「生化学」とか、「分子生物学」の教科書で勉強した。

 

 

高分子に関しては、会社で数年研究をやってたので実際のイメージが湧いている。

 

重合開始剤や可塑剤、重合のやりかたによる違いとかレオロジーとか、なんとなく肌感で理解している。

 

高分子ってのはだいたい教科書の最後にあるから、ほとんどの先生は自分自身もしっかり習ったことはないんじゃないかと思うのだ。

 

俺には色々なアドバンテージがすでにあるから、それを使って説明するね。

 

もちろんこれでもいいのだが、果たしてこれで俺を選んで塾に来てくれている子供達に最善を尽くしていると言えるのだろうか?と思うようになった。

 

なぜなら、共通テストが難しすぎるのだ。

 

何度も何度も書いてるが、共通テストが難しすぎる。

 

教科書と試験が合っていない。

 

あの教科書を使って共通テストでいい点をとりましょうってって言ったら、貧乏な子はハンディ背負うことになるんじゃないか?とさえ思ってしまう。

 

今はネットも情報を無料でかなり出すようになってきているから、以前よりも格差は減ったかもしれない。

 

それでも経験や知識が豊富な先生に習うかどうかが、自分の点に大きく影響してくるほどの難問だと思っている。

 

 

今、俺たちは参考書を書いている。

 

本当は理論なんかはほとんど出来上がっているのだが、何度も手直しをしているのだ。

 

これでいいのか?

 

これでいいのか?

 

を繰り返しているうちにどんどん様子が変わっていってしまうのである。

 

 

誰が買うのか、どういう風なコンセプトにするのかとか、色々迷ってるとまた全部書き直したくなってしまう。

 

 

でも、迷っても仕方がない。

 

どこかに留まって書かないといけないからだ。

 

 

そしてやっと迷いがなくなりつつある。

 

ああ、そうだ。

 

自分の塾の生徒のことだけを考えて書こうと。

 

目に見えるこの子達に何をあげたいのか?

 

それだけを考えて迷うのはやめようって。

 

すでに5~600ページ分の原稿を毎日毎日見ながら、迷い続けていた。

 

 

俺の生徒のために書こう。

 

書いてるものはただの化学式なのだが、そこに心を込めたいと改めて思った。