みかみの国の王様

お前はお前。俺は俺。

バイト講師と俺。

俺はもう20年近く塾の先生をやっている。

 

前職の研究者でさえ16年だから、もう塾の先生の方が長くなった。

 

大学生等、バイトで授業をやっている人は多いと思う。

 

いいことだ。

 

頑張ってくれたまえ。

 

 

だが、俺はバイト講師とは違う。

 

高校生の化学で説明できるといいのだが、読んでもわかりにくいかと思うので中学生の英語で説明する。

 

当たり前だが、教科書のどこにどんな内容が書いてあるのか知っている。

 

そしてそれぞれの単元の単語も知っている。

 

3年生の子で、「英語ができません。」という子が来たら、瞬時にどこらへんでつまづいたのかを調べる。

 

それと同時に、どういうことが苦手なのかを探しにいく。

 

単語を覚えていないのか?

 

文法が苦手なのか?

 

何かがひっかかってるためにダメになってるのか?

 

 

そして、俺がいつも英語ができるかどうかを確認するために出している問題、be動詞と一般動詞は区別できるか?

 

複数形のs と三単元のsの違いはわかるか?

 

前置詞の使い方は間違ってないか?

 

品詞の意味を理解しているか?

 

など、俺の中のチェック項目を確認していく。

 

とりあえず単語は最低限。

 

 

よし、今日はインドシリーズでいっとくか。

 

「インドはIndia って書くよ。」

 

「カレーはcurryって書くからね。」

 

「よし、どんどん訳して言ってね。」

 

これはインドです。

 

カレーはインドですか?

 

太郎はインドの少年です。

 

太郎がインドでカレー食っています。

 

太郎はインドにカレーを買いに行きました。

 

カレーを買いたい太郎はインドでカレーを食ってしまいました.....

 

よくできる子はどんどん難しい文章へ、苦手な子は類題をたくさん作って練習。

 

 

あとはひたすら褒めながら、ひっかかっているところを直していって長い文章へつなげていく。

 

俺らはこれで飯を食っているし、これが仕事だ。

 

 

 

 

こんな話を読んだことがある。

 

テレビが壊れたので電気屋さんに持って行った。

 

電気屋の主人はテレビの壊れ方を見て、ある場所をポンと叩いた。

 

するとテレビが直った。

 

「はい。1万円です。」

 

「一回叩いただけで1万円とは高すぎませんか?」

 

「私は1回叩いだけで直せるようになるまでに30年間この仕事を続けました。だったら、この技術を得るのにかかった30年分の代金をいただきます。」

 

 

俺の時給は当たり前だが、バイト講師の時給よりも高い。

 

それは子供の成績を上げるために努力してきた時間が違いすぎるからだ。

 

まだまだとてもじゃないが、1回叩いただけで成績をあげるようなスキルはない。

 

だけど、これからも努力していく。

 

もっともっと上手な先生になりたいと思う。