昔の曲を聴きながら勉強している。
あのハングリーで、何も持っていなかった頃を思い出す。
一家心中や借金取り、警察のことややくざのこと。
俺はいつも何かしらを心配しながらずっと生きてきた。
そして、俺がどうなりたいのか、何が欲しいのか、いつも地の底から天を見つめて考えていた。
高校生の時からだろうか、いつかそれを自分の手に入れてやると一生懸命に頑張るようになった。
その頃、俺が欲しかったもの。
具体的に俺は思い浮かべていた。
シンデレラのように、俺は心の中にいちいち夢想していた。
俺、もう全部夢が叶ってる!
全部のものがすでに手に入っている。
小さいとき、何度も家族がバラバラになって、そして理不尽に何度も引越しさせられ、もしも俺が決められるのならこんなに悲しいことを繰り返さないと、心に誓ったことを思い出した。
みじめから抜け出したいんだった。
よく考えたら、俺の中のみじめの感情は雲散霧消している。
俺の中にあった人生の課題を、俺はすでに解決し終わっている。
ああ、もう俺は俺で生きてきて、自分の中にやり残していることはないんだ。
もう貧乏じゃない。
もう誰とも離れなくてもいい。
俺は、圧倒的にいい仲間に、そしてまわりの人たちにすでに恵まれている。
俺が決められるのなら、こういう人生にしたいというものをすでに実現していた。
ああ、自分をこれ以上に幸せな何者かにする術は俺はもう持っていない。
自分のためにはもうがんばれないんだ。俺は。
試験を受ける意味さえよくわからなくってきた。
この試験を受けて、会社を作って何がしたかったんだろうか。
もちろん試験は受ける。
みんなに「ウソをついたり、雑にやったらダメだよ。」って言ってるから、最後までやるのだが、もはやさほど意味がないのかもしれない。
高校生が命をかけてがんばっている勉強と、俺がさっきまでがんばっていた勉強は同じようなものだと思ってやっていたが、全然違うものなのか。
そうか。
次なる幸せはたぶん、自己実現とか自己超越とかきっとそっちの方向だ。
人生ってすごい。
自分の生きてる間を全部使って、何かの形を作る。
もはや自分映画の主人公なんだなあと知った。
でも、まだエピローグが残ってる。
キャリブレーションしながら、いいエンディングに向かって進みたいと思う。