みかみの国の王様

お前はお前。俺は俺。

堕天使ルシファー

山口県の岩国市に錦帯橋という橋があり、その近くに公園がある。

 

県外の人を案内するときに、ときどきその公園に行っていた。

 

その公園では、おじさんがよくボルゾイを連れて散歩している。

 

ボルゾイなんかそんなに飼っている人がいないから、どうしても目をひいてしまう。

 

ちなみにボルゾイ、これね。

 

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かなり大きくて、ちょっと怖い感じがする。

 

 

「あー、今日もルシファーがいるなあ。」

 

その言葉にかすみ先生が反応してきた。

 

「え、あの犬、ルシファーっていう名前なんですか?」

 

「そうだよ。ルシファーはね、あのおじさんが飼ってるんだけど、毎日ここに散歩に来るんだよ。」

 

いつものように、適当なことを言ってちょっと盛り上げてみた。

 

 

半年後くらいしてまたその公園に行った。

 

「今日もルシファーいますね。」

 

かすみ先生が、ボルゾイの名前を覚えていた。

 

「ああ、本当だね。毎日いるからね。ここの名物だね。」

 

 

 

....3回目のときだった。

 

ルシファーを連れたおじさんが近くのベンチに座っている。

 

「あっ、ちょっとルシファーのところ行ってきます。」

 

「あっ、待って。」

 

....やばい。

 

かすみ先生が、ルシファーに「ルシファー。」って話しかけたらどうしよう。

 

よそ様の家族とも言えるお犬様に、勝手に堕天使の名前をつけて呼ぶ女の子が来たらこれどうなんだろう?

 

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↑ これルシファー。

 

↓ これ、何も知らされてなかった当時のかすみ先生。

 

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ルシファー VS  かすみ先生

 

もう止めることはできない。

 

 

 

俺にできることは、遠くから知らないふりして見守ることだけだ。

 

かすみ先生は、ルシファーの飼い主のところにいき、飼い主と話している。

 

俺は事故が起こらないように、聞き耳を立てた。

 

 

かすみ先生 「かっこいい犬ですね。名前は何ていうんですか?」

 

おじさん 「ルシファーだよ。かっこいいだろ、堕天使ルシファーから名前をとったんだよ。」

 

もどってきたかすみ先生「先生、本当ですね。ルシファーって言うんですね。」

 

俺「そうなんだよ。」

 

 

 

 

 

 

と、なるとかすみ先生は思っていたはずだ。

 

しかし実際はやっぱり違っていた。

 

 

 

 

 

 

 

かすみ先生 「かっこいい犬ですね。名前は何ていうんですか?」

 

 

 

 

 

 

 

 

おじさん 「レモンちゃん。」

 

かすみ先生 「えっ?」

 

おじさん 「この子はレモンちゃんっていうんだよ。」

 

かすみ先生 「か、かわいい名前ですね。」

 

 

 

 

 

ああ、ルシファーって呼んでなくてよかった。

 

だけど、ボルゾイの名前がレモンちゃんだったとは.....

 

 

 

 

アドリブもさすがじゃないか。かすみ先生。