世の中にはそこにいると自然にバカになってしまう場所があると思っている。
あれは、10年以上前のことだった。
カンボジアのメインストリートの一つ、シヴォタ通りから東南アジア最大の湖
トンレサップに向かって自転車を漕いでいた。
あまりの暑さに、何度も立ち止まって水を飲んだり頭にかけたりしていた。
おそらく10キロくらいあったと思う。
トンレサップに着いて、「ああ、またこの道を帰るのはどうなんだろう?」と思いながら、道を進んでるとところどころにハンモックが下がってる建物がある。
なんだろう?
人の家なのか?
入っていい場所なのか?
失敗しても、最悪お金を払えば許してもらえるかという気分で入ってみた。
その家の人が出てくる。
Can we go into this house ?
Yes.
おっ、ラッキー。
そしてビールやジュースの入ったクーラーボックスを見せられる。
おお、やっぱり喫茶店かこれは。
そしてこうなる。
(すみません、いいのがなくてネットから拾ってきました)
こんな感じで、360度から自然の風が吹いてきて、かつ畑のような田んぼのような緑が広がる風景。
もはや脳が溶ろけそうになる。
ああ、全ての悩みはちっぽけで、この地球がくれた快適な心地よさがあればもはや何もいらない。
知らない間に目を閉じてしまい、その気持ち良さにうっとりする。
寝るわけでもなく、アスファルトなんかで固めていない自然の大地に抱かれる。
ずっとここにいてもいい。
全ての力が解放されて、無気力になる。
これが幸せなのでは?
バックパッカーが沈没(心地が良すぎてその場所に住んでしまうこと)してしまうのも、こういう心地よさがあるからなのではないだろうか?
日本の経済成長はもはや世界最低だが、世界中の多くの場所にこういう場所があると思う。
俺が好きなのは、ニューヨークのタイムズスクエアー近くのギラギラのバーでもないし、ベネチアの運河沿いの洒落たバルでもないし、地上200メートルのマリナーベイサンズのバーでもない。
外が見えて、土があって、サンダルで飲んだり食ったりできるような店だ。
日本になってバカになってしまう場所が作れるんじゃないかなあと最近思っている。
俺がそういう基地を作ったらエブリワンども、ぜひ飲みに来いよ。
ビール持ってくるのも忘れんなよ。