みかみの国の王様

お前はお前。俺は俺。

大学受験を始めた日。

大学受験を始めた日というものが存在する。

 

仕事していた頃、大学に行きたいとぼんやり思っていた。

 

ある日、大学に行くことを宣言した。

 

それから机の前には座るのだが、勉強ができない日が続いた。

 

勉強する前の習慣と生活が違いすぎて、なかなか遊び癖が抜けなかった。

 

何度かラストのDISCOに通った。

 

今回でラストにしようと思ってもまた踊りに行きたくなる。

 

そしてまたラストのDISCOに行ってしまった。

 

山口から福岡まで遠征だった。

 

仕事がすんですぐに小倉まで行った。

 

勉強すると宣言してからは、踊るのに罪悪感を持つようになっていた。

 

 

当時、会社では3分間ミーティングというものが存在しており、なんでもいいから朝にみんなに話をしないといけない決まりがあった。

 

ラストDISCOの次の日は俺の担当だった。

 

「えー、勉強しないといけなかったのですが、どうしても踊りたくなって小倉に行きました。」

 

みんなの反応が渋すぎる。

 

言わなきゃよかったことは、明白だ。

 

 

終わったあと、上司に呼び出された。

 

「君は勉強するって言ったんじゃなかったのか?」

 

怒られてしまった。

 

まあ、俺も若かったので、逆恨みのような気分で説教を聞いた。

 

俺だって、勉強したいと思っているけど、できないから苦しんでるのに...

 

 

その日、家に帰って俺は覚悟を決めた。

 

もはや勉強しかできないという生活を受け入れる覚悟である。

 

この覚悟の原動力は逆恨みなのだった。

 

怒りとか憎しみというのは、人間のパワーの中でも相当強い部類だ。

 

俺は、このパワーを使い、俺が遊んでいたもののほとんどすべてを段ボール箱にぶち込んだ。

 

ラジカセ、ローラースケート、マンガ本.....

 

テレビの画面にはガムテープを×の形に貼った。

 

 

 

そして俺はその日から、必死の受験生になることができた。

 

24時間ずっと勉強のことばかり考え、風呂に入ってもトイレに行っても、ずっとひたすら勉強のことだけを考えられるようになった。

 

 

受験生にいつも言ってる。

 

一生懸命になるのには覚悟が必要だって。

 

 

世の中は等価交換だから、もしもいい大学に行きたいのなら、それに見合うものを差し出さないといけないと。

 

受験生に差し出せるものはきっと二つしかないはず。

 

情熱と時間だ。

 

これを全部神様に差し出して、そして努力するしかないと思うのだ。

 

 

俺が勉強を始められたのは、あの時に俺を怒ってくれた上司のおかげ。

 

心から感謝している。

 

 

一人でも多くの受験生がベストを尽くせますように...