受験時代の俺はずっと音楽を聞きながら勉強していた。
とにかく外界のすべての音を遮断したかったからだ。
大きな音量でずっと勉強していた(もちろんイヤホンした状態ね)。
勉強している間はほぼ100%音楽を聞いていたと言える。
杏里と小田和正だけをずっと2年間繰り返し聞き続けた。
今でも、その曲を聴くとあの時の気持ちや苦しさが鮮明に蘇る。
いつかこの苦しい生活がいつか終わってバラ色の人生が待っているはずだと信じていた。
会社の中で大学卒の人たちに混じって、「あのさあ、〜〜」なんてカッコつけて話す日を想像してた。
金髪にして海外行ったりしながらチャラい塾長になるとはそのときは1ピコメートルも想像しなかったけど。
休憩のときは「冬物語」という受験のマンガを読みながら、その登場人物を勝手に自分のライバルにしていた。
俺らの会社は、国公立大学しか許可してくれていなかったので、私立大学というものがさっぱりわからなかった。
冬物語の主人公は日東駒専を目指すのだが、当時の俺は日東駒専も関関同立もGMARCHも全く全然知らなかった。
早慶がどれほど難関なのかも考えたこともなかった。
でも、あのとき死ぬほど苦しい努力をしといてよかったと本当に思える。
会社で働くことが当たり前の毎日に、わざわざ手を上げてまで勉強を始めたから今日に繋がったと思う。
もしもあのまま暮らしていたらまた別の生活はあったと思うし、それなりに楽しんだり頑張ったりしていたと思うが、今の生活が一番幸せだ。
人生をやり直せるのなら、今度は迷わずにまっすぐ塾長を目指す。
塾長は、子供達と勉強を一緒に頑張る楽しさ以外に、経営を考えることができる。
どういう塾にするのか、どういう子と頑張るのか、どこでやるのか、そんなことを全部決めることができる。
ありがたすぎる。
今、頑張ってる受験生も、自分の目指しているものと違うゴールが待ってるかもしれない。
だけど、がんばれ頑張るほどチャンスはたくさん巡ってくると思うし、幸せになる確率も高くなると思う。
数年ぶりに杏里の曲を聴いてみて、ふとあの頃のことを思い出した。