みかみの国の王様

お前はお前。俺は俺。

俺を救う授業。

20歳を過ぎて始めた大学受験。

 

センターと2次試験があることも知らなかったし、文系と理系も知らなかった。

 

毎月毎月螢雪時代冬物語を読みながら、受験の情報を増やしていった。

 

普通高校の人がどうやって勉強しているのか全くわからなかったし、そういう友達も一切おらず、完全な独学だった。

 

あれが今の時代なら、俺はもっともっと楽に大学に合格できたと思う。

 

少なくとも誰かから習えば、勉強のアウトラインが見えたはずなのだ。

 

数学の勉強を始めたときなどは、本当に全然わからずに赤チャートを買って始めた。

 

どうせわからなかったので、赤が好きだったので赤チャートにした。

 

センター試験で10点も取れないような人間が、赤チャート買ってできるはずがないのだが、あの時は何もわからなかった。

 

化学は、偏差値50からのスタートだった。

 

本屋さんに行き、普通高校の教科書を購入した。

 

全く見たことがない、コロイドや立方格子を見て、?????な気分だった。

 

極めつけは、糖とアミノ酸だった。

 

わからなさ過ぎて丸暗記した。

 

あのとき、俺が教えていれば一発でできるようになっていたはずだ。

 

というか10分の1の暗記量ですんだはずなのに。

 

原理原則がわからなかったので、覚え方のコツさえ見出せなかった。

 

それ以上に、俺が知りたかったのはアウトラインだった。

 

特に英語だった。

 

英語の湖の向こうがどこで終わってるのか、どこまでを勉強したらいいのかが、全然見えなかった。

 

全貌が見えなさ過ぎて、英語の湖は俺にとっては無限に広がる海だった。

 

せめて、ここまでやればいいんだよ。

 

というのがわかれば、そこまでいってそれから理解を深めていけたと思う。

 

塾にも行きたかったが、行ける塾がなかった。

 

俺みたいなわけのわからない生徒を、当時は誰も受け入れてくれなかった。

 

 

 

当時の俺に一番ふさわしい授業がもしあるとすれば、個別授業じゃなくて絶対に映像授業だと思う。

 

個別で特定の先生に習うより、みんなが勉強しているであろう方法を、権威化してもらった方が、きっと納得がいったと思う。

 

「この教科の全てが以上です。8割取れると思います。だから、あとは問題集を解きながらこの動画でまとめたノートを見てください。試験に出ることを全て話しました。全国の生徒はこれで勉強しています。」

 

 

今は通信制の高校が増えている。

 

俺が今教えている中学生も、私立とかに行くのならもしかして通信制の高校に進んだ方がいいんじゃねえの?とか思ったりしている。

 

だいたい、私立は3科目。

 

学校で習うのは7科目とか8科目とかじゃん。

 

なぜか理系に行く人は文系の科目はやらなくていいよ。という不思議な受験方式になっている。

 

もうそれなら、フィリピンでも行って語学留学でもしながら、通信制でも通った方が色々わかっていいんじゃね?

 

と思っている。

 

まあ、俺が親で俺の子供も俺ならば、日本人がほとんどいない国の大学に行かせるね。

 

これからは個人の時代、レアな経験の方が役に立っていいからね。