みかみの国の王様

お前はお前。俺は俺。

勉強に目覚めるとき。

 「おい、もう少し勉強頑張ったらどうだ?おまえはできるんだから。」

 

「僕、できないです。」

 

「例えば、毎日ゲームはがんばれるだろ?勉強も頑張ってみたらどうだ?」

 

「ゲームは面白いから...」

 

「何が面白い?」

 

「少しずつレベルが上がっていくところとか....」

 

「じゃあ、勉強だって一緒だろ?

少しずつレベルが上がっていくんだから。」

 

「でも、ゲームは苦しくないし。」

 

「だけど、考えてみて?

楽なダンジョンと難しいダンジョンがあるだろ?どっちが楽しい?」

 

「それはどっちもそれなりに楽しいっていうか...」

 

「じゃん?

ボスとか出てきたら張り切るよね。

それまでにしっかり力を貯めとくよね。」

 

「はい。」

 

「で、ボスを倒したらいいものがもらえたりするだろ?

雑魚倒してもそれほどいいものもらえないだろ?」

 

「はい。」

 

「それのもっとすごいバージョンが勉強なんだよ。」

 

「でも、レベルをあげるのが大変で。」

 

「よく考えてみろ?

ゲームでレベル上げても他のことに使えないだろ?

勉強でレベル上げたらすごいぜ。

まずは俺からの信用が格段に上がる。

おっ、こいつは頑張るヤツだって信用される。

それからお母さんやお父さんが喜んでくれる。

友達もびっくりするかもね。

さらには、それがいろいろな自信に繋がる。

勉強の枠を超えて、いろいろな自信につながってくる。

ゲームの枠を超えて、レベルが上がるゲームなんかないだろ?

ゲームのレベル上げるのも楽しいかもしれないけど、俺からの信用を爆上げするなんてめっちゃすごいと思わないか?

テスト勉強頑張るだけで信用されるんだぞ?」

 

「はあ、でも、大変なんで。」

 

「おいおい。じゃあ、俺らのこと考えてみてくれよ。

俺らが成功するためには、勉強だけできてもダメなんだぜ。

俺が勉強できても教え方が下手だったら、誰も塾に来ないだろ?」

 

「はい。そりゃあ。」

 

「仮に教え方がうまくても、塾があることがわからなければ生徒が来ない。

だから広告も書かないといけない。

そして広告を書いて教え方がうまくても、生徒や親御さんと人間関係が上手に築けなかったら塾が潰れるんだぞ。」

 

「お前なんか勉強を頑張るだけで、信用が掴めるんだぜ。

めっちゃ楽じゃないか?」

 

「確かに。よく考えたらそうですね。」

 

「だろ?勉強する気になったか?」

 

「はい。僕、めっちゃ燃えています。今から帰って勉強がんばります。」

 

「よし。

よく言った。

じゃあな。

次回のテスト楽しみにしてるからな。」

 

「はい。まかせてください。楽しみにしててください。」

 

 

 

 

という風には簡単にいかない。

 

教育という仕事もなかなか難しい。