ハーレーショップを後にして、俺は考えた。
ハーレーの値段はともかくとしても、大型二輪の免許を取ることに抵抗があるのだ。
そもそも普通二輪を取ろうと思っていたのだが、それでさえ普通のペースでやれば1ヶ月と13万円かかるという。
13万円も嫌なのだが、1ヶ月もかかることが特に嫌だった。
大型にすれば、もっともっと時間がかかる上にバイクの免許をとるだけで20万円を超える。
今度は金額まで我慢できなくなってくる。
俺は、好きになれないものには瞬時に撤退する。
自分に合わないと思ったら、すぐにやめるくせがある。
もしも20万円以上かけて、さらには12月になってまで免許を手に入れて、ハーレーを買ったのにつまらなかったらどうしよう?
同じマンションで新しいバイクを買って、めっちゃ自慢して2日くらい乗り回していたのに、その後、ずっとシートをかけて大事に保管している人を知っている。
はっきり言っていいだろうか?
駐輪場が狭いんじゃ!ボケが!
あの人と俺の性格は似ている。
違うのは、俺はあんな荷物をいつも気にしておかなければいけないことに強いストレスを感じることだ。
乗れないことがわかったら、即時に売り飛ばすだろう。
1週間乗って気に入らなかったら、邪魔者を始末することは目に見えている。
「大型二輪の免許持ってます。」だけが残るのもどうなんだろうか。
やっぱり免許を取ることをやめよう。
考え直そう。
いや、それはダメだ。
お金は価値の交換機能を持っている。
今回、免許を取ろうと思ったのはお金とバイクの免許を交換しようと思ったからなのだ。
もし、今回の交換を踏みとどまるようなことがあれば、決心した意味がない。
お金を、一生使えるバイクの免許に形に交換しておかなければ。
どうせ海外に行けばバイクに乗ることがあるんだから、免許はとっておいた方がいい。
さらば、ハーレーダビットソン。
俺は機会損失の計算を優先させる。
というわけで俺の新しいシナリオはこうだ。
まずは、普通二輪を取る。
その後、バイクが欲しいかどうかを考える。
欲しかったら400ccくらいのバイクを買ってみる。
乗ってよかったら、大型免許をとってハーレーを買う。
よくよく考えたら、俺はバイクの免許を取ろうとしただけで、バイクが欲しかったわけではなかった。
そうそう。
今思い出した。
あの時の気持ちを。
俺はバイクが欲しいんじゃなくて、バイクの免許をお金と交換しておこうと思っただけだった。
みんなにコメントもらいながら、頭がズレてしまっていた。
みなさん、俺は普通二輪免許がとりたいだけなんだったよ。
というわけで、入校手続きをすませてきた。