もしも会社に残っていたらどうなってただろうと考えるときが時々ある。
会社にいた頃は、会社に入っている人が一番偉いのかと思っていた。
いろいろな用事を子会社の人に頼んだりするときに、自分の親くらいの歳の人がペコペコと頭を下げてくる。
その雰囲気がまた自分を勘違いさせてしまう。
会社をやめた今、周りがお客さんだらけになって逆の立場になってしまった。
今でも昔の会社の人にたまに会うと、普通の人もいればやっぱり昔の俺みたいに、中小企業を下に見ている人も多い。
それよりも出世だ。
やはりサラリーマンは出世競争にさらされている。
俺も会社にいた頃は、絶対に出世したいと思っていた。
同期の中では絶対に1番でありたかったし、できたら社長にだってなりたいと思っていた。
でも、俺は会社をやめて大正解だったと思っている。
なぜなら会社に残って頑張っていたとしても、出世できなかったとわかるからだ。
当時の俺のライバルは誰も出世していない。
いやいや、正しくは俺の年代で出世しているやつがいない。
俺らはバブルで入社した人たちの2〜3年遅れの世代だ。
2〜3歳年上の人たちがものすごくたくさんいる。
とういうことは、俺らが上に進めるのは、その世代が引退した時ということになる。
せいぜい2〜3年の間しか上にいられないとすると、もはや老後の思い出話にしかならない。
そう、俺は会社に残っていたとしても出世できなかったのだ。
逆に会社をやめたおかげで、車もたくさん買えたし、髪の色だって自由にできた。
挙げ句の果てはたくさん海外にもいけたし、知り合いもたくさん増えた。
会社で海外赴任したら、もしかして海外に住めたかもしれないが、俺は今だって住もうと思えば海外に住める。
あと5年くらいしたら、一旦定年を迎えるだろう。
でも、俺に定年なんかないから、やめたくなるまで働く。
あれほどリタイアしたかったのに、今では全然興味がない。
こんな時代になっているとは全く予想もつかなかった。
今の時代の延長で未来を見ているから、未来が予測できないんだと思う。
何かが起こったら、そこからまた未来は違う方向に進んでいく。
何も起こらないことはないわけだから、やはり未来は予想できないんだろう。
だとすれば、あのときに自分のやってみたことを選択できて本当に良かったと思っている。
未来が予想できないし、予想通りにはいかないのだから、それなら自分が好きな道を歩んでいけばいいだろうということが今になってよくわかる。